創業計画書で担当者が一番チェックするのが、「売上計画」です。
創業融資を申し込んだ際、「売上計画に根拠がなく、この創業計画は実現可能性が低い」という理由で否決になるケースは少なくありません。
多くの方は「はじめての創業」であり、実際にそのビジネスを行ったことがないため、売上計画の数字はある程度「想像」や「希望」が入りがちです。
しかしその売上計画が収支に大きな影響を与えるので、売上計画に信憑性がないと金融機関は返済できると判断できません。金融機関が売上計画の根拠を求める所以です。根拠をきちんと説明できないと残念ながら、申請した創業融資は否決されます。
売上高の計算方法
日本政策金融公庫は、「創業計画書」を作成する際の「売上高の計算方法」という資料を作成しています。
この資料には「業種の特性を考え、最も適した方法を選び、他の方法もあわせて検討してみましょう。また、業界平均に地域事情などを考慮するなどして多角的に売上高を予測することが大切です」と書かれています。少なくともこの計算方法に準じた売上予測をしないと、「根拠のある売上計画」とは認めてもらいにくいでしょう。
この資料に書かれている、業種ごとの売上を算出する算式をここで紹介します。
(1)設備が直接売上に結びつき、設備単位当たりの生産能力がとらえやすい業種
部品製造業、印刷業、運送業などが該当します。
<算式>
設備の生産能力 × 設備数
(2) 販売業で店舗売りのウェイトが大きい業種
コンビニエンスストアなどが該当します。
<算式>
1㎡(または1坪)当たりの売上高 × 売場面積
(3)サービス業関係業種
飲食店営業、理容業、美容業などが該当します。
〈算式〉
客単価 × 設備単位数(席数) × 回転数
(4)労働集約的な業種
自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業などが該当します。
〈算式〉
従業者1人当たり売上高 × 従業者数
季節要因や地域性は加味しておくこと
売上予測をする場合、季節要因を加味しておくことはとても重要です。
業種にもよりますが、飲食店なら通常2月・8月は閑散期、12月や3月・4月は繁忙期です。
閑散期と繁忙期、通常期の売上は違っていて当たり前であり、どの月も同じ売上予測をすると「深く考えていない売上計画」と判断され、審査が厳しくなります。
また、地域性も売上に影響を与えることもあります。その地域特有の祭りなどイベントにより、客数の増減があるからです。
業界平均を把握しておくこと
どの業種にも、業種平均の経営指標があります。
提出された売上計画の数字が業界平均から大きく乖離していると、その売上計画の信憑性が疑われます。
1㎡当たりの売上高や従業者1人当たりの売上高などについては、「小企業の経営指標」(日本政策金融公庫総合研究所編)などで調べることができます。
日本政策金融公庫の調査資料を使って売上の根拠にすると、「売上の根拠が乏しい」と言われた場合でもその旨を伝えて抗弁はできます。
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#喜連川 慎也
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