「合同会社」を門前払いする金融機関は少なくない
その金融機関は、「合同会社」というだけで最初から排除していると言います。
また「同様の方針の金融機関は少なくない」とのことでした。
もちろん対外的に公言しているわけではありません。金融機関の「内規」として取り扱っているのだそうです。
合同会社、株式会社との比較とメリット
株式会社と合同会社には、いくつか違いがあります。
「スモールスタート」できるのは合同会社の大きなメリット。「簡易な手続き」「安価な費用」で、合同会社設立に魅力を感じる創業者は少なくないでしょう。実際、株式会社ではなく合同会社を設立する創業者は、以前よりグンと増えていると私も感じます。
しかし、「始めやすさ」は、いざというときの「撤退のしやすさ」。なかには、誠実な商売を、末永く続けたいと考える人ばかりではなく…
実は上記の金融機関担当者は、合同会社の口座開設を断る背景として、こう明かしました。
つまりそのような勢力も、「始めやすさ」「撤退しやすさ」を利用して合同会社を選ぶことが多いと、金融機関に推測されているのでしょう。
合同会社が法人口座設立に不利な理由
「合同会社 口座開設」で検索すると、「合同会社でも口座開設は可能」と解説する記事が多く提示されます。たしかに私が閲覧した複数の記事に、間違ったことは書かれていませんでした。しかし金融機関の現場の話を聞けば、そう簡単に開設しないだろうと考えられます。
冒頭でお話ししたとおり、ここ数年、新設法人の金融機関口座開設の難度が上がっています。合同会社だと、株式会社よりさらに不利だと考えていいでしょう。その理由を以下にまとめました。
(1)反社会的勢力に利用される割合が多いと推測されている
先述のように、株式会社に比べて「合同会社は反社会的勢力に利用されているケースが(有意に)多い」と金融機関は判断しているようです。
(2)事業目的不明と判断されやすい
株式会社設立時は定款の作成・認証が必要ですが、合同会社では作成は義務であるものの、認証は不要。定款が実際の業務に即しているかどうか、また事業目的についても、誰も明確に判断しにくいのです。
合同会社は創業融資に特段不利ではない。しかし…
株式会社・合同会社・個人事業主、いずれも創業融資審査の有利/不利はありません。
創業融資でよく利用される日本政策金融公庫、また協調融資事例もあるでしょうから民間金融機関もあわせて考えてみましょう。
いずれにせよ創業融資申請時に重要視されるのは、以下の3点です。
1/自己資金
2/経験年数
3/創業計画書
この3点が金融機関にとって説得力の高い内容なら、合同会社だからといって審査に不利に働くことはないでしょう。
しかし合同会社にした理由が「設立費用を削減するため」なら、「自己資金の準備が少ない創業者」と判断されがちです。また、以下の懸念も出てくるでしょう。
金融機関①
創業に必要な準備が
もしかして他の面、たとえば経験年数などでも
整っていないのでは…
金融機関②
熱意や本気度が、どこまであるのか
判断できる資料がないことには…
金融機関③
軌道に乗る前に
早い段階で事業継続をあきらめてしまうのでは…
審査時にこんな疑念が生まれると金融機関はリスクと考え、申請側には残念な結果しか見えません
金融機関の考え方・つきあい方を知れば適切なアドバイスが可能
新設法人による口座開設は難しくなっていますが、もちろんまったく不可能ではありません。
対策のポイントは4点。
1/口座開設×創業融資に協力的な金融機関を選ぶ
→メガバンクではなく地域金融機関に打診
2/提出書類の記載事項をモレなくチェック
→基本的な書類不備は意外と多い
3/口座開設に有利に働く追加資料を作成
→例)定款の説得力を高める材料として、業界経験や設立動機、また競合調査報告書など
4/適切なアプローチ
→設立の「前」に支店訪問して担当者と関係と作る、など
とくに「1」の金融機関の選定は大切です。とはいえ、目当ての金融機関に「合同会社お断り」の内規があるかどうか外部から知ることはできず、実際にあたってみるしかありません。
ただ、上記4点をおさえれば、合同会社も口座開設しやすくなるといえるでしょう。
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