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担当者が異動しても金融機関と良好な関係を維持する方法


担当者「以外」にもパイプを作っておけばよいのです。

たしかに金融機関では、基本的に2~3年に一度人事異動があります。一つの部署や支店に長くいると不正しやすくなると同時に、あまり長く同じ顧客を担当していると癒着が生じる可能性があるため、定期的に人事異動を行うのです。

しかし事業者にとっては残念至極。時間をかけて担当者とよい関係を構築したのに、新しい担当者がやってきて「そんなこと、また聞く?」といった基本的な質問をしてくることも多いです。



また融資を受ける際、自社を熟知している担当者とそうでない担当者が作成する稟議書(融資審査の際に作成する書類)を比べれば、前者の方がはるかに認可されやすいことは理解いただけると思います。融資などの支援を期待している事業者は、自社を知らない新任者にガッカリですよね。

とはいえ金融機関には「不正や癒着を防ぐ」という大義名分があるため、「担当者を変えないで」という事業者の要望は聞き入れられません。

ただし、「(担当者ではなく)金融機関との関係性を継続する」のが目的なら、打つ手はあります。

金融機関では基本的に「引継ぎ」はない

最初にお伝えしたいのは、金融機関では(事業者が期待するような)「引継ぎ」は行われないということ。

事業者としては、前任者とよい関係を築いていればいるほど、自社のことを新しい担当者に過不足なく引き継いでくれるだろうと期待します。

しかし残念なことに、自分の担当先の顧客についての詳細な内容をデータとして残している担当者はほとんどいません。そんな時間はないからです。「引継ぎ」内容はデータではなく、自分の記憶です。

もちろん優秀な前任者なら企業内容は頭の中で整理されているでしょうから、とくにデータやメモなどがなくても、次の担当者にモレなく引き継ぐことができるでしょう。

しかしそうでない(大半の)担当者なら、記憶に残っている内容を口頭で伝えるのがほとんどです。

また、金融機関にもよりますが、引継ぎ期間はたいてい3日程度です。しかも管理している担当先が1,000件を超える担当者は金融機関にはざら。その1,000件について、3日間で引継ぎを行わなければなりません。よほどのVIP顧客でない限り、緻密な引継ぎは物理的に不可能だと考えてよいでしょう。



対策① 事業計画書を持って支店に出かけよう

引継ぎのない状態で新しい担当者と少しでも早く良好な関係を構築するために必要なのは、「自分たちのことを、短期間に、詳しく知ってもらう」こと。そのために有効なのが、事業計画書です。


事業計画書のおもな目的は、「知らない相手に、自分たちのビジネスモデルを詳しく理解してもらう」こと。事業計画書を作成しておけば、新たな担当者に見せることで自社を早期に理解してもらえます。

また、内容をよく理解している顧客先には、担当者も顔を出しやすくなるのも大きなメリット。


まずはなるべく早く支店に出かけるか訪問してもらって、事業計画書を見せながら自社を説明する機会を持ちましょう。自社を知ってもらうことで足を運んでもらえる回数は確実に増え、会う回数が多いほど良好な関係を構築しやすくなります。

 対策② パイプを2つ以上作っておく – 担当者の上司

担当者としかつきあっていなかった場合は、担当者が変わってしまうと金融機関との関係性も大きく変わります。


日ごろから担当者だけでなく、担当者の上司ともパイプを作っておきたいところです。担当者が異動しても、残った上司とのパイプは繋がっているため、金融機関との関係性は継続できます。


上司とは、担当者の直属上司である「渉外担当役席」や、支店での貸付責任者である「貸付担当役席」です。

また上司が自社への理解が深ければ、新任者にも説明してくれます。より早く自社への理解が進みますし、上司の後ろ盾があれば新任者も訪問しやすく感じるでしょう。

対策③ できれば3つめのパイプを – 支店長

パイプは2つより、3つ持っていればより安心。第3のパイプとは、支店長です。

支店長なら、担当者、またその上司たちより、さらに強固な関係性が持てるでしょう。少なくとも一度は、自分たちから支店長に挨拶に出向くことをおすすめします。

相手が来るのを待つだけなら、築けるパイプは担当者しかありません。担当者の上司や支店長とのパイプを築きたいときは、こちらから金融機関に出向きましょう。確実に上司や支店長と会える機会が作れます。

担当者に比べれば、担当者の上司である渉外担当役席や貸付担当役、支店長のほうが、顧客を紹介してもらえる案件をたくさん持っています。

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#喜連川 慎也

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