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融資審査で「信用格付け」の重要性が再浮上の兆し

更新日:2022年12月28日




融資審査のルールが、徐々に変化しようとしています。


コロナ融資の返済が本格的に始まっています。しかしコロナの影響は今も続いており、返済に困難を抱える事業者は少なくありません。


返済できない事業者の増加は、金融機関にとって貸倒率の上昇を意味します。この貸倒率上昇が、金融機関の融資姿勢に大きく影響することは必至。今後は、金融機関の審査が厳格化することが予想されます。


今後、その審査に大きな影響を与えるのが、「信用格付け」です。

債務者区分とは

かつて融資審査のルールブックとして利用されていた金融検査マニュアルには、「債務者区分」という考え方がありました。


債務者区分とは、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を区分することです。


①正常先

②要注意先

③破綻懸念先

④実質破綻先

⑤破綻先


金融検査マニュアルは2019年(令和元年)12月18日に廃止されましたが、債務者区分の考え方は実務上、金融機関では今も有効です。



信用格付けとは

金融機関は独自の信用格付けで債務者を分類していますが、上記の債務者区分と信用格付けは整合性が取れている必要があります。


信用格付けは、より企業の実態に合うよう10~20段階に細かく分かれています(金融機関によってさまざま)。


信用格付けを行うとき真っ先に考慮するのが「決算書」。そこから現金・預金・借り入れ金額の推移、利益や内部留保など、様々な指標をチェックします。


また、資産の科目明細にある不動産や株式等の時価を調べ、時価と決算書の額に差異があればその分を加減します。


財務数値等の定量的要因だけでなく、定性的要因も加味し評価します。定性的要因の詳細は後述しますが、事業の将来性・経営者の資質・特許の有無・従業員のモチベーションの高さ・後継者の有無などです。



ラインシート作成が復活する可能性

この信用格付けは、「ラインシートの作成」によって行います。


金融検査マニュアルが廃止される前は、各金融機関は毎年(金融機関によっては半年に1度)作成していました。が、廃止後は、多くの金融機関は作成しなくなりました。金融機関(とくに支店サイド)の負担が大きすぎるからです。


しかし今後コロナ融資の貸倒率増加が見込まれるため、ラインシート作成が復活…という話が、金融庁界隈から漏れ伝わってきています。



格付けダウンによるデメリット – ①金利 ②審査の厳格化

金融機関は、格付けによるリスク分を金利に上乗せします。つまり信用格付けが落ちると、それまでより借入れ金利が高くなるのです。


また、格付けの低い融資が増えると、銀行の自己資本比率が悪化します。当然ながら、金融機関は融資を絞ってきます。


融資をスムーズに借りるなら、今後は自社の信用格付けアップが重要になるでしょう。



定性的要因に関する情報提供で格付けアップ

先ほどもお伝えしたように、信用格付けは定量的要因と定量的要因の2点で決定します。


1/定量的要因:財務数値情報 など

2/定性的要因:事業の有望性、経営者の資質、特許の有無、従業員のモチベーションの高さ、後継者の有無、業界全体の動向とその中での当該企業の将来性、将来性、成長可能性 など



定量的要因はすでに出ている結果なので、事業者側にできることはありません。


一方、定性的要因は事業者側からの多彩な情報提供で、評価を高める働きかけを行えます。


情報提供=事業計画書の提出

もちろん本来なら定性的評価も、銀行の担当者がさまざまな角度から調査やヒアリングを行うべきものでしょう。


しかし昨今の担当者は多忙で経験も乏しく、情報収集能力に大きな期待はできません。担当者任せでは、定性的要因での評価アップを望みにくいのが実情です。


それなら事業者側からの積極的な情報提供で、担当者の情報収集能力を補いましょう。最適なのが、事業計画書の作成と提出。


財務内容が悪化している事業者が今後の融資をスムーズに受けるためには、定性的要因の評価を上げる事業計画書の作成が必要不可欠といえるでしょう。


かといって中小企業の経営者が、説得力の高い事業計画書を作成するのも困難。ここは士業・コンサルタントなどの専門家が、積極的にサポートしたいものですね。

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