資金を必要としない企業に「無利子だから」と融資を勧める金融機関と付き合わない
- 喜連川 慎也
- 2022年7月4日
- 読了時間: 4分

本気で中小企業支援に力を入れていない金融機関は、今、よくわかりますね。
★「品のない」金融機関の担当者が跋扈する
【民間金融機関による実質無利子・無担保融資】なら、金融機関は自行のリスクなしで融資額を伸ばせます。金融機関は原理的にできるだけ多く貸したいので、「おいしい」制度なのです。
借りる側にとっては「実質無利子」ですが、実際には利息があります。しかしその利息分は、国から補填されるものです。さらに「セーフティネット保証4号」や「危機関連保証」で融資した場合は保証協会の100%保証ですので、金融機関は本当にリスクゼロです。
資金繰りに困っている事業者にとってはありがたい。しかし借りる必要のない企業に対しても強く営業をかけているケースが私はたいへん気になります。
金融機関担当者
「3年間は無利子で借りられるので
限度枠の目一杯まで借りておきませんか?」
「品のない」(あえてこういう表現をさせていただきます)金融機関の担当者、と言わざるを得ません。
金融機関の社会的役割
金融機関の与信(融資)業務の基本は、「必要とする企業に対して必要とする資金を貸し出す」です。
金融機関は民間企業ですが、社会への資金供給の一翼を担うという「社会的な使命」も持っています。民間企業なので営利を求めるのは絶対に必要ですが、それも「金融機関としての基本使命」を守った上で行うべきことだと私は考えています。
金融機関が行うべきではないこと
その観点から、資金を必要としない企業に「利息がタダだから借りておいた方がいいですよ」と提案する行為は、まったくもって金融機関としての本質を外しています。
不必要な融資をした結果、余剰資金を手に入れた企業が不必要な投資を行い、財務内容が悪化して本業に悪影響を与えた事例を、私はたくさん見てきました。
だから通常、金融機関が融資を行う際は「融資した資金を何に使うのか」「その金額は妥当か」という「資金使途」と「額」を審査し、必要以上の融資額申請ならその金額を減額した上で実行します。
「資金を必要とする企業に、必要とする額を貸し出す」という本来の目的から外れた「不必要な資金を融資する」与信行為を、金融機関は行うべきではありません。まともなバンカーなら、よくわかっているはずです。
本気で中小企業支援に取り組もうとしない金融機関
不必要な資金をリスクゼロで貸し出し、金利を稼ぐ。その金利は、国庫から出ています。「3年間は無利子で借りられるので、限度枠の目一杯まで借りておきませんか?」と提案する金融機関は、真に困っている中小企業への支援に投入されるべき貴重な税金を、自らの業績・利益として取り込もうとしている「品のない企業」ではないかと私は思います。
だってよく考えてみてください。資金繰りが順調な、いわば安全な企業への融資は、どんなにレベルの低い担当者にもできるのです。
そんな企業を自らの利益を上げるために【民間金融機関による実質無利子・無担保融資】へ誘導するのに忙しく、一方、本当にその資金を必要としているのにもかかわらず財務内容のせいでなかなか借りることができない中小企業への対応は二の次に。
こんな金融機関が本気で中小企業支援を行おうとしているとは、とうてい思えません。
いざというときに頼りにならない金融機関
ヒガシカワの私見ですが、結論を申し上げると「融資を必要としない事業者に『3年間は無利子で借りられるので、限度枠の目一杯まで借りておきませんか?』と積極的に提案してくる金融機関は自分たちの収益のみが重要で、金融機関としての社会的使命を鑑みない『自分勝手な金融機関』である」と思っています。
自分たちのことしか考えない金融機関は、苦境に陥っている中小企業に不親切です。本気で困っている中小企業に冷たい態度で接し、自分たちの利益につながらない取引先に支援する努力をすることもなく、簡単に切り捨ててしまう。そんな金融機関とつきあっていても、いざというときに頼りになりません。
「いざというときに頼りにならない金融機関」としかつきあっていない中小企業は将来、リスクが高まります。
「3年間は無利子で借りられるので、限度の枠目一杯まで借りておきませんか?」と提案してくる金融機関としかつきあっていない事業者は、リスクヘッジのために新たな金融機関を開拓することを強くおすすめします。
#喜連川 慎也
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