事業承継時、経営者保証を外したり、プロパー融資の保証を合算で解除できる制度もあります。
近ごろ事業承継に関する相談が増えています。とくに多いのは、「現経営者への融資や保証をどう承継していくか」。
2020年(令和2年)4月に「事業承継特別保証制度」が開始されました。
簡単に言うと、以下の4要件が満たされている企業については、現経営者も新経営者も保証免除となる保証制度です。
●資産超過であること
●返済緩和中でないこと
●EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること
●法人と経営者の分離がなされていること
プロパー融資の保証も外せます
「事業承継特別保証制度」の中に、「経営承継借換関連保証」という制度があります。
この「経営承継借換関連保証」の最大のメリットは、「金融機関プロパーで借りている融資も合算で、この事業承継特別保証制度に借り換えられる」ことです。
民間金融機関からプロパー融資で借りた資金の、信用保証協会の保証付き融資による借換は、基本的には認められていません。が、「経営承継借換関連保証」を利用する場合は例外的に認めてもらえます。
プロパー融資で保証人がついていても、「経営承継借換関連保証」を利用して借換すると、経営者保証を解除できることになります。
また、経営者保証コーディネーターによる確認を受けた場合には、保証料率が大幅に軽減されます。
経営者保証免除要件を満たしていない企業が使える事業承継保証制度
前述のとおり、経営者保証を免除してもらうには「資産超過であること」「返済緩和中でないこと」「EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること」「法人と経営者の分離がなされていること」の4要件が満たされている必要があります。
だからといって、4要件を満たしていない企業が事業承継をする際に保証協会の保証付き融資を借りられないということではありません。
保証人が必要となりますが、事業承継に利用できる制度はあります。
(1)通常の事業承継に使える制度
「経営承継関連保証」と言い、中小企業者が経営の承継のために必要な資金に利用できる保証制度です。
この制度では、以下のために必要な資金を借り入れることができます。
●議決権株式の取得資金
●事業用資産の取得資金
●事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金
●遺産分割に伴う返済資金又は遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額
●運転資金 等
ただし、この制度を利用する際は、「事業承継計画」を策定し「経営承継円滑化法」による経済産業大臣の認定が必要になります。
(2)後継者が株式を購入するために使える制度
「特定経営承継関連保証」と言い、後継者である中小企業者の代表者が経営の承継に伴い当該中小企業者以外の者から株式等を取得するために必要な資金に利用できる保証制度です。
この制度では、以下のために必要な資金を借り入れることができます。
●株式等の取得資金
●事業用資産の取得資金
●事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金
●遺産分割に伴う返済資金又は遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額
●認定中小企業者の事業活動の継続に特に必要な資金
この制度を利用する際も、「事業承継計画」を策定し「経営承継円滑化法」による経済産業大臣の認定が必要になります。
(3)M&Aに使える制度
「経営承継準備関連保証」と言い、M&Aによる事業承継に必要な資金に利用できる保証制度です。
この制度では、以下のために必要な資金を借り入れることができます。
●株式等の取得資金
●事業用資産等の取得資金
この制度を利用する際も、「事業承継計画」を策定し「経営承継円滑化法」による経済産業大臣の認定が必要になります。
(4)従業員が事業承継をする際に使える制度
「特定経営承継準備関連保証」と言い、従業員をはじめとした事業を営んでいない個人による買収による事業承継に必要な資金に利用できる保証制度です。
この制度では、以下のために必要な資金を借り入れることができます。
●株式等の取得資金
●事業用資産等の取得資金
この制度を利用する際も、「事業承継計画」を策定し「経営承継円滑化法」による経済産業大臣の認定が必要になります。
(5)持株会社を設立する際に使える制度
「事業承継サポート保証」と言い、持株会社を設立し、持株会社が事業会社の株式を買い取る資金に利用できる保証制度です。
この制度を利用するにあたっては、「経営承継円滑化法」による経済産業大臣の認定は不要です。
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#喜連川 慎也
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