同じ内容の融資案件でも、通りやすい時期と通りにくい時期があるのをご存知ですか?
難しそうな融資案件は、タイミングをずらすことで申請が通ることがあります。以前のブログでも同様の内容をお伝えしましたが、状況が変化。あらためて情報を改訂のうえお伝えします。
もくじ
なぜタイミングを選べば融資が通りやすくなるのか
民間金融機関で融資が通りやすいタイミング
もし融資実行が3月・9月に間に合わなければ
公庫や信用保証協会の保証つき融資が通りやすいタイミング
なぜタイミングを選べば融資が通りやすくなるのか?
多くの民間金融機関の本部は、各支店に対する「業績評価」を行っています。
「業績評価」のポイントは、「預金」「融資」「預かり
資産(投資信託・保険・国債等)」「財形貯蓄」「顧客満足度」など金融機関によってさまざまです。
これらの項目に対して、支店は「目標数値」を決めます。その数値を達成しないと、支店の評価は当然ダウン。支店の評価が下がると自らの昇進に影響が出るので、支店長はなんとしてでも達成しようと努めます。
上記の評価項目は金融機関によって微妙に違っていますが、共通点があります。どの金融機関でも、「融資」は「重要評価項目」なのです。
もちろん各支店にとって、重要評価項目=融資の目標数値は、必達。あと少しだけ目標数値に足りない時期はとくに、なりふり構わず数字アップに全力を尽くします。
そのタイミングで融資申請を行うと、多少難しい案件でも「とりあえず…GO!」のサインが出ることが少なくないのです。
民間金融機関で融資が通りやすいタイミング
「業績評価」は一般的に、「上期(4月~9月)」「下期(10月~3月)」の年2回です。「3月」と「9月」の数字が重要ですから、3月と9月の銀行員は、数字を上げるために無我夢中。
だからといって3月や9月に融資案件を持ち込めばよいかというと、そういうわけではありません。
なぜなら融資は申し込んでから実行されるまで、通常1ヶ月程度はかかるからです。つまり、3月や9月の申し込みでは、間に合わない可能性があります。ただでさえ融資案件が集中する時期ですから、当月の申請は控えたいところ。
融資が通りやすいタイミングが「3月・9月」であることには間違いないのですが、融資を申請すべきタイミングは2月と8月です。
2月・8月の申し込み→3月・9月の、できればそれぞれ早いタイミング(上旬が理想的)で融資が実行できる案件に、銀行員は大変力を入れてくれます。
もし融資実行が3月・9月に間に合わなければ
3月や9月中に融資を実行しなければ業績評価に数字が反映されないため、間に合わない融資案件は翌月の4月・10月の審査に回されます。
それは次期の業績にしかならないないので、「何としてでも本件の融資を実行!」という意欲は低下します。手のかかる難しい案件を、今この時期にあえて通そうとはしないでしょう。
公庫や信用保証協会の保証つき融資が通りやすいタイミング
民間金融機関とは違い、日本政策金融公庫や信用保証協会に「業績評価」はありません。
3月や9月など毎年決まった時期に業績アップを求められることはないのですが、それでも借りやすいタイミングはあります。「新しい融資制度や信用保証制度が導入されてすぐの2週間程度」です。
新しい融資制度・信用保証制度には、そのときの政府の意向が汲まれています。中小企業が借りやすい内容になっていることが多いのですが、導入初期は制度が浸透していないため、申請件数はあまり伸びません。
一方、公庫や信用保証協会にとっても、業績評価がないとはいえスタートダッシュの数字は重要。政府肝いりの制度ですからなおさらです。そこで制度が始まったばかりのころははとくに、「数字を積みたい」「この案件を通したい」意志が働くのです。
さらに初期のうちは「審査の判断方針が細かく定まっていない」こともあり、可決されやすかったり、審査結果の連絡が早かったりします。
このように民間金融機関にせよ、公庫や保証協会の制度融資にせよ、申請のタイミングによって通りやすさが変わることがあります。
あなたの顧問先など、顧客が求める融資がいわゆる「難件」なら、タイミングを見計らった申請を提案してみてください。時期をずらすことで可決の確率が上がることもあります。
ベスト時期の融資申請のために余裕を持って準備できるよう、士業・コンサルタントとして日頃から顧客をサポートしたいものです。
融資申請のタイミングをずらしたり、ちょっとした資料を追加提出したりすることで、普通なら通りにくい融資案件が可決されることがあります。
事業者にとって融資が通る・通らないは、事業継続の重要ポイント。難しい融資案件になればなるほど、確実に借りたいと願うものです。
そんなとき相談する相手が、周りの士業・コンサルタントなどの専門家。しかし難しい融資案件に対して的確なアドバイスやサポートができる専門家の数は、あまり
多くありません。
#喜連川 慎也
コメント